三好先生のキャリコンコラム②
2016/12/07
コラム第2回:スーパービジョンのメリット:アカウンタビリティーを養おう。
前回は、スーパービジョンの大前提は、クライアント・ファーストという事をお伝えしました。スーパービジョンのメリットについて、お話ししたいと思います。スーパービジョンのメリットは、カウンセラーが果たすべき努めを遂行できるようにする、いわば、質の向上と維持です。その一つに、アカウンタビリティーがあります。アカウンタビリティーとは、カウンセラーの負う説明責任のことです。これは、ただ、行った行為について述べるだけではなく、なぜその行為を行ったかという根拠、論拠を、説明する責任の事です。
これは、定義だけ見ても、とても難解で高レベルな話で、目を背けてしまいたくなるようなプレッシャーを感じてしまいますよね。でも、よく考えてみると、とても重要なことです。
例えば、あなたがおなかが痛いのでお医者さんにかかったとします。そしたら、お医者さんが、突然、「では、今すぐ回復手術してしまいましょう。大丈夫、良くなりますよ。私が見てきた患者さんの多くは、手術して良くなりましたから。」っと、言ってきたらどうでしょう?私が、そのお医者さんにかかったら、すぐに他の医者に変えます。何が原因でおなかが痛くなったのか、そして、なぜ手術をするのか全く説明がないからです。実際に、手術をやらせたら日本一かもしれない名医であってもです。
自分の行いを説明するのに必要な根拠・論拠には、2つのタイプがあります。一つ目は、これまでの体験を通して培われる経験則です。経験則は、クライアントを支援する中で、注意深く観察する眼を養っていけば、それほど難しい話ではありません。しかし、経験則だけでは、より普遍的な説得力のある原理や論理的なメカニズムを用いて説明することはできません。そこで、二つ目のタイプとして必要となってくるのが、理論です。先程のお医者さんの例では、経験則はすごいのでしょう。でも、理論が無ければ、プロとしての信用度は0です。
これは、キャリアカウンセリングでも全く同じことが言えます。なぜこの行為をするのかという事を説明するためには、まず、クライアントの身に何が起こっているのかを説明する責任があります。この訴えている問題の原因を説明するのに、理論は無くてはならないものです。なぜなら、理論は、人が悩む原因や解決するメカニズム、問題を乗り越えるために踏まなければならない課程を説明しているからです。これが、理論ではなく、感情的で経験的な説明ではどうでしょう?将来の志望を決められないのは、職場での仕事ぶりが満足いかないのは、根性が足りないからだと言われたら、皆さんはどう思われますか?根性がない、自己反省が足りないというのも、ある意味、問題の原因を捉えていっている事でしょう。しかし、そこに説得力は全くありません。それどころか、かえって、クライアントを精神的に傷つけてしまいます。
しかし、きちんとした理論を活用すれば、クライアントが問題解決にあたって、どこの部分でつまずきがあり、どんな支援が必要なのかを明らかにしてくれます。そして、これが、いわゆる「見立て」とか「Conceptualization」と言われるものです。そして、そのつまずきがあった場合に、それがクライアントの言動としてどの様に助けを求めるシグナルを出しているのかを説明してくれていたりもします。
次に、どの様なテクニックや手法を用いるのかについて説明する必要があります。先程のお医者さんでは、何故手術をという方法を取るのかということです。原因が分かったとして、その問題点をどのように解決するのかを説明する必要があるのです。ここでも理論があると説得力のある説明が出来ます。
これら説明をする上で、とても重要な事は、クライアントにとって、倫理的で適切に働き、価値のあるものであるということを文書・報告書にて説明ができるようになる必要があります。対人援助専門職は、人を追い詰める事も簡単にできてしまうため、非常に繊細な働きが要求されるものです。我々の働きを社会的に保証するためにも、説明責任を果たせるようになるためには、口頭での説明のみならず、文書にてきちんと説明できるようになる必要があります。文書にするという事は、ポスターなどにわかりやすくまとめることが出来るという事です。これによって、クライアントに自分の方針を理解してもらい、クライアントがより納得して支援を申請してもらえるようになりますし、安心してサービスを受けてもらう事にも、信頼関係を築くためにも、非常に重要な事です。また、他の専門家にリファーラル(紹介)するときに、円滑に説明できる者ともなります。そして何より、文書に記すことによって、抱えているケースを整理し、今後の質の向上に活かす資料にもなります。スーパービジョンは、この文書・報告書できちんと説明できるように学ぶ場でもあるのです。
今回は、アカウンタビリティーについてお話ししました。その中で、理論、理論と声高に叫んでいましたが、そもそも、理論とは、いったいどういったものでしょうか?自分のコンセプトやテクニックを理論を用いて説明するというのはどういう事でしょうか?次回は、コンセプト・理論・テクニックについてお話ししたいと思います。
前回は、スーパービジョンの大前提は、クライアント・ファーストという事をお伝えしました。スーパービジョンのメリットについて、お話ししたいと思います。スーパービジョンのメリットは、カウンセラーが果たすべき努めを遂行できるようにする、いわば、質の向上と維持です。その一つに、アカウンタビリティーがあります。アカウンタビリティーとは、カウンセラーの負う説明責任のことです。これは、ただ、行った行為について述べるだけではなく、なぜその行為を行ったかという根拠、論拠を、説明する責任の事です。
これは、定義だけ見ても、とても難解で高レベルな話で、目を背けてしまいたくなるようなプレッシャーを感じてしまいますよね。でも、よく考えてみると、とても重要なことです。
例えば、あなたがおなかが痛いのでお医者さんにかかったとします。そしたら、お医者さんが、突然、「では、今すぐ回復手術してしまいましょう。大丈夫、良くなりますよ。私が見てきた患者さんの多くは、手術して良くなりましたから。」っと、言ってきたらどうでしょう?私が、そのお医者さんにかかったら、すぐに他の医者に変えます。何が原因でおなかが痛くなったのか、そして、なぜ手術をするのか全く説明がないからです。実際に、手術をやらせたら日本一かもしれない名医であってもです。
自分の行いを説明するのに必要な根拠・論拠には、2つのタイプがあります。一つ目は、これまでの体験を通して培われる経験則です。経験則は、クライアントを支援する中で、注意深く観察する眼を養っていけば、それほど難しい話ではありません。しかし、経験則だけでは、より普遍的な説得力のある原理や論理的なメカニズムを用いて説明することはできません。そこで、二つ目のタイプとして必要となってくるのが、理論です。先程のお医者さんの例では、経験則はすごいのでしょう。でも、理論が無ければ、プロとしての信用度は0です。
これは、キャリアカウンセリングでも全く同じことが言えます。なぜこの行為をするのかという事を説明するためには、まず、クライアントの身に何が起こっているのかを説明する責任があります。この訴えている問題の原因を説明するのに、理論は無くてはならないものです。なぜなら、理論は、人が悩む原因や解決するメカニズム、問題を乗り越えるために踏まなければならない課程を説明しているからです。これが、理論ではなく、感情的で経験的な説明ではどうでしょう?将来の志望を決められないのは、職場での仕事ぶりが満足いかないのは、根性が足りないからだと言われたら、皆さんはどう思われますか?根性がない、自己反省が足りないというのも、ある意味、問題の原因を捉えていっている事でしょう。しかし、そこに説得力は全くありません。それどころか、かえって、クライアントを精神的に傷つけてしまいます。
しかし、きちんとした理論を活用すれば、クライアントが問題解決にあたって、どこの部分でつまずきがあり、どんな支援が必要なのかを明らかにしてくれます。そして、これが、いわゆる「見立て」とか「Conceptualization」と言われるものです。そして、そのつまずきがあった場合に、それがクライアントの言動としてどの様に助けを求めるシグナルを出しているのかを説明してくれていたりもします。
次に、どの様なテクニックや手法を用いるのかについて説明する必要があります。先程のお医者さんでは、何故手術をという方法を取るのかということです。原因が分かったとして、その問題点をどのように解決するのかを説明する必要があるのです。ここでも理論があると説得力のある説明が出来ます。
これら説明をする上で、とても重要な事は、クライアントにとって、倫理的で適切に働き、価値のあるものであるということを文書・報告書にて説明ができるようになる必要があります。対人援助専門職は、人を追い詰める事も簡単にできてしまうため、非常に繊細な働きが要求されるものです。我々の働きを社会的に保証するためにも、説明責任を果たせるようになるためには、口頭での説明のみならず、文書にてきちんと説明できるようになる必要があります。文書にするという事は、ポスターなどにわかりやすくまとめることが出来るという事です。これによって、クライアントに自分の方針を理解してもらい、クライアントがより納得して支援を申請してもらえるようになりますし、安心してサービスを受けてもらう事にも、信頼関係を築くためにも、非常に重要な事です。また、他の専門家にリファーラル(紹介)するときに、円滑に説明できる者ともなります。そして何より、文書に記すことによって、抱えているケースを整理し、今後の質の向上に活かす資料にもなります。スーパービジョンは、この文書・報告書できちんと説明できるように学ぶ場でもあるのです。
今回は、アカウンタビリティーについてお話ししました。その中で、理論、理論と声高に叫んでいましたが、そもそも、理論とは、いったいどういったものでしょうか?自分のコンセプトやテクニックを理論を用いて説明するというのはどういう事でしょうか?次回は、コンセプト・理論・テクニックについてお話ししたいと思います。