三好先生のキャリコンコラム①

こんにちは。専任スーパーバイザーの三好です。
キャリコン向けコラムを発信していくことになりました。
アメリカで学んだキャリアの最前線について、なるべく分かりやすくお伝えして行きたいと思います!

第1回は、スーパービジョンの大前提、「クライアント・ファースト」についてお話します。

現在、キャリア・コンサルタントやキャリア・カウンセラーを始め、様々な相談援助をしているプロフェッショナル達の間で、スーパービジョンの必要性が叫ばれています。きちんと指導してくれる人がいないと、自分のスキルや実践に自信が持てないという方の声を良く耳にします。また、カウンセリングやコンサルタントサービスを提供する企業にとっても、質の高いサービスの提供を保証することは経営を左右する大きな課題だと思います。さて、では、スーパービジョンの大前提とは、いったい何なのでしょうか?

アメリカの著名なスーパービジョンに関する論文や著書をまとめてみますと、スーパービジョンは、次のように記されています。スーパービジョン(Supervision)とは、「第一の目的は、カウンセラー(スーパーバイジー)の担当しているクライアントを援助する監督行為である。」   都知事の言葉を借りるわけではありませんが、「クライアント・ファースト」の精神がなければ、良きスーパーバイザーとは、言えないという事ですね。

アメリカで、私が学び、また、教えてきたことの一つに、「カウンセラーは、カウンセリングをする前に、カウンセリングを受けるべきである。」というのがあります。実際に、カウンセリングで自分がどの様な対応をされるのかを経験したことがなかったら、何がよいカウンセリングか、何が害をなすカウンセリングか、自分に合っているカウンセリングかそうでないかなど、わかるはずないのですよね。これでは、クライアント・ファーストのカウンセリングは、行えません。

私自身、米国でカウンセリングを受けたことがあります。私を担当したカウンセラーは、計4人。その中で、満足したカウンセラーは、実は、1人だけです。会って3日で解任したカウンセラーもいました。カウンセラーのこのスキルがすごいとか、この理論の応用が素晴らしいとか、そういうことは、クライアントだった私にはどうでもよい事でした。その時学んだのは、クライアントが一番求めている事は、安心感だなぁということです。自分の抱えている問題をたった数十分ですべて解決できるとは、本当は思っていないものです。それで解決するならば、今日のお昼は、天丼にしようかラーメンにしようかという、そもそもカウンセラーに相談しようとは思わないレベルの事でしょう。カウンセリングで一番重要な事は、クライアントが心の底で訴えている事をちゃんと聞き、受け止めてもらったと感じる事なのです。

スーパーバイザーになろうとしている人は、同じ意味で、ぜひ、スーパービジョンを受けてみて欲しいと思います。スーパービジョンを受けたうえで、何か疑問や不満があれば、堂々とスーパーバイザーに伝える事です。スーパーバイザーは、スーパーバイジーにとって、模範となる立ち居振る舞いを行うべき存在です。クライアントが、カウンセリングに対する疑問や不満をカウンセラーに言えないとしたら、それは、本当にあるべきカウンセリングではありませんよね。スーパーバイザーとバイジーの関係も同じです。

スーパーバイザーは、スーパーバイジーを一人の人間として尊重し、専門家としての発達や自立をサポートするべき存在です。つまり、スーパーバイザーは、バイジーであるカウンセラーが人間観や哲学、理論を作り出せるようにサポートしていくものでなくてはなりません。もっと簡単に言うと、スーパーバイジーの「らしさ」を引き出す役割です。 では、スーパービジョンを受ける事で、実際に、どんなメリットがあるのでしょう?

次回は、スーパービジョンのメリットについてお話ししたいと思います。